本書はマルクス主義の文献の中でも最も広範に読まれていた文献の一つである。そして反対者・批判者からこれを典拠とする批判も数多く行われている。そのうちの最も多いものの一つが「共産主義者は、これまでのすべての社会秩序の暴力的転覆によってのみ、自分の目的が達せられることを、公然と宣言する」という叙述への批判である。また、バブーフの財貨共有制を批判したものの、生産手段と生活手段の区別がなく、「ブルジョア的所有の廃止」というスローガンと並んで「私的所有の廃止」という目標も掲げられていることが、「共産主義は私有財産をとりあげる」という批判の根拠になった。マルキスト側からは、暴力革命は当時の欧州の議会状況を反映したものであること、マルクスらは後年これらの見地を捨てたことなどが反駁としてあげられている。
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しかしながら当時の正義者同盟も共産主義者同盟も非民主的な方法で社会の変革を目指す一つの秘密結社であったので、実際の方法論としてはマルクスも、シャッパーやヴァイトリングも暴力革命の路線を一時的にせよとったであろうことは推測される。なお最も明確に最後まで暴力革命路線を持ちつづけた同盟関係者はヴァイトリングであった。
「経済学の巨人」と言われるジョン・ケネス・ガルブレイスは「『共産党宣言』は、その政治的インパクトもさることながら、政治のスタイルにより深い影響及ぼしました。断定的で、非妥協的で、突き進んでいく調子は、すべての政治家の意識に深く浸透し、マルクスの名前に怖気をふるう者や、その名前をハートやシャフナーといった男性服と結びつける者にまで影響を与えました。その結果、アメリカの民主党員や共和党員、イギリスの社会主義者や保守党員、フランスの右翼や左翼が自分たちの目的を人々に訴えようとするとき、『宣言』のようなたたみかける調子がまず本人の耳に響き、やがては一般大衆の耳にこだまするのです。そんなふうに言葉の調子だけをととのえた演説がひどいものになるのは当然のことです」と評している(『不確実性の時代』)。